聖地閉店祭。ディノスシネマズ札幌で『バーフバリ 王の凱旋』絶叫上映を観た話。

次の休みはなんの映画観に行こうかなーと思いながら映画館の上映スケジュールを見ているとある異変に気づいた。

ディノスシネマズ札幌のホームページに、昨日までなかったのに突如あの映画があらわれている。 伝説を誕生させたあの映画のまさかの凱旋。

『バーフバリ 伝説の誕生』『バーフバリ王の凱旋』

もう映画館でバーフバリを観れることはないと思っていた。しかもディノスシネマズ札幌で絶叫応援。行くしかない。
ということで応援上映シリーズ第4段。 『バーフバリ 王の凱旋 完全版』です。

『伝説の誕生』に関しては、その日17:30に母親を駅まで車で送らないといけない用事がありそれを断って映画を優先したらバーフバリ道に反すると思ったので諦めました。

で、『王の凱旋』に行ったわけですが、正直応援上映の気分じゃありませんでした。単純にバーフバリが観たいという気持ち。

それに前回バーフバリの応援上映に行ったときはそれネタバレじゃないの?っていう発言が気になって楽しみきれなかった。 だからバーフバリ応援上映に対してあまり良いイメージがなく気分が乗らない。

lociepatay.hatenablog.jp

とはいえバーフバリは観たい。ディノスシネマズ札幌の応援上映自体は一度体験しておきたい。

悩みに悩んだ末今回は端っこの席で観ることにした。絶叫上映に来ている人を邪魔せずに、もし声を出したくなったら出そうくらいのスタンスで劇場へ向かった。

まあ二回目だからね。わかってますよ。 コスプレはいないよ。いてもお面をかぶってる人や国母風ファッションの人くらいでしょ。
ほら、あの人たちお面かぶってる。ほら、あそこに国母風ファッションの美人さんがいる。でもやっぱりコスプレはいませんよ。わかってますわかってます。

チケットをもぎってもらいスクリーンに入ろうとする。すると後ろから「わ、すげっ」というスタッフの方の声が聞こえた。

僕の後ろにいた客に対してだ。 客にそんなこと言うなんて失礼な店員だ...わ、すげっ。

後ろにバーフバリがいた。

完全に背後を取られていた。 戦場だったら僕は死んでいる。絶叫上映なのにそんな気持ちでいいのか、それで王を称えられるのかというメッセージだろうか。

席につき始まるのを待つ。 急な告知だったにも関わらずけっこう席は埋まっていてバーフバリの人気とディノス札幌がいかに愛されているかを再確認した。

バーフバリは一番前のど真ん中に鎮座していた。

スタッフの方が出てきて前説が始まる。 この方もバーフバリが大好きなんだろうなというのがすごく伝わってくる。

なにやらテレビの取材も来ているらしい。 ディノスシネマズ札幌最後のバーフバリ絶叫上映の様子を撮影するんだってさ。

注意事項の確認と発声練習をするが全体的におとなしめな感じであった。

伝説誕生のダイジェストのあと、ひたすら無音でスポンサー紹介が行われる摩訶不思議タイムが始まる。

これがまあ長いこと長いこと。ちょっとした短編映画流せるくらい長い。しかも無音。

沈黙が続く場内。

....................

....................

....................

...シャン............

シャンシャン.........

シャンッシャッシャンシャン

シャンッシャッシャンシャン

誰かが鈴を鳴らしてリズムを取り出した。

ひとり、またひとりと鈴の音が大きくなる。

沈黙が切り裂かれた瞬間だった。

あぁ、今日の人たちはおとなしいけど応援上映をやってくれる人たちなんだな。

本編が始まったあとも鈴と拍手メインで進んでいく。端に座っていたから聞こえなかっただけかもしれないがツッコミの類などはなかった。それでもキャラクターの登場シーンでは歓声があがるし笑いも起きて和やかな雰囲気である。

そうしてもはやBGMの一種となった鈴の音と共に映画は進んでいく。

このまま声はださないで終わるかなー。そんなことをまだこのときは思っていた。このときは。

クンタラ王国の宮殿にピンダリ賊が襲い込んでくる。応戦するバーフバリとカッタッパ。その頃クマラは女性たちと共に宮殿内の一室で怯えていた。自分に武芸の才能がないことは自分が一番よく分かっているのだ。自分では絶対に勝てない。だから怖い。

そこにバーフバリが現れる。「心弱きものも勇者になれる時がくる。今がその時だ。」そう言い短剣をクマラに渡し去っていく。

クマラは勇気をだし敵に立ち向かうも軽くあしらわれ床に倒れる。やっぱり自分には無理なんだ。バーフバリたちのように強くはなれない。

その間にも女性たちが襲われている。自分の国の民たちが襲われている。民を守るのが王族の使命であるのに自分はなにをやっているんだ!再び勇気をだしたクマラは覚醒し次々と敵をなぎ倒していく。彼になかったのは才能ではなく勇気であった。

クマラ人気はここにあるのだろう。自分には才能がないと制限をかけ行動することに臆病になる。それでも良い格好はしたいから自分より下だと思った人には偉そうに語り見栄を張る。

そこに自分たちを重ね合わせる。だからクマラが勇姿を魅せたとき心から喜び歓声をあげるのだ。

しかし、大事なことはその後自分がどう行動するのかである。臆病なままで終わるのか勇者になるのかは結局のところ自分次第である。

見事ピンダリを撃退したバーフバリはデーヴァセーナと共にマヒシュマティ王国へ向かうが、シヴァガミの怒りを買い国王の座を剥奪される。

新たに国王に指名されたバラーラデーヴァであったが民衆の想いは違った。

載冠式の日、詰めかけた民衆はバーフバリを求める。バーフバリジャイホー!バーフバリジャイホー!

今日の観客はおとなしめであるため、叫んでいる様子は見受けられない。サイリウムを降ってる人はけっこういるからもしかしたら言ってるのかもしれないけど端っこの僕には聞こえない。

その時、事件は起こった。

スクリーン内に再びカメラが入ってきた。 バーフバリ万歳!バーフバリ万歳!とみんなで叫んでいる様子を撮りに来たのだ。

そしてカメラは、

僕の横に来た。

気づいたであろうか。僕の席からは聞こえないのだ。僕が聞こえないということはマイクが充分に音声を拾えないという可能性も十分にある。

これはやばい。せっかく取材にきたのに絶叫応援の様子が撮れなかったとなれば可哀想だ。しかもディノスシネマズ札幌のラストラン。

最後のバーフバリ絶叫応援である。

バーフバリジャイホー!バーフバリジャイホー!

僕は叫んでいた。二度胸を叩き手を天に掲げる。

バーフバリジャイホー!!バーフバリジャイホー!!

クマラの勇姿を見た僕に声をださないという選択肢は消えていた。 僕ひとりの声でどうこうの話じゃないけど、絶叫応援の様子、撮れてたらいいな。

その後は最高の場面が続き歓声も大きくなっていった。

セクハラ男の指を切り落としたデーヴァセーナに「お前が悪い」と怒るバーフバリ。「切り落とすべきは首だ!」とセクハラ男を斬首するところではひときわ大きな歓声があがる。
いまTwitter等で痴漢に安全ピンを刺すという行為が物議を醸しているが、世の人たちが怒っているのも当たり前の話である。 そう、安全ピンを刺すなんて中途半端なことはやっていけないのだ。首を切り落とすのが正しいのである。

バーフバリの死の場面ではみんなが息を呑んでみているのが空気感で伝わった。最終決戦は鈴と歓声とサイリウムで盛り上がる。

最後は大きな拍手でエンドロールを迎える。

隣のはじめてバーフバリを観ると言っていた人も、一番前で見ているバーフバリのコスプレをしている人も、僕もみんな大きな拍手をしていた。

映画が終わりスタッフの挨拶が行われ、最期にバーフバリジャイホー!のコールで締める。 どこからともなくスガイディノスジャイホー!という声があがる。

札幌の人たちにバーフバリを届けてくれたディノス札幌に感謝を込めみんなが叫んだ。 スガイディノスジャイホー!スガイディノスジャイホー!

今日はスガイディノス札幌の閉館日である。 映画愛に溢れていて、他ではやってくれない映画を上映してくれる札幌にとってはなくてはならない大事な映画館であった。あとコーヒがおいしい。

どうか良い移転先が見つかって再び開館できますように。

とりあえずお疲れ様でした。そしてありがとうございました。