【感想】映画『ソニック・ザ・ムービー』笑って泣ける娯楽傑作!中川大志さんの声優も最高!

映画『ソニック・ザ・ムービー』の感想です。途中からネタバレ含まれます。

SEGAの大人気ゲーム「ソニックシリーズ」 その人気は日本国内にとどまらず、世界中で愛されるシリーズです。


僕は全作品はやっていませんが、ドリームキャストの『ソニックアドベンチャー』でシリーズに触れて、ゲームキューブの『ソニックアドベンチャー2バトル』と『ソニックヒーローズ』をめっちゃやってました。


特に『アドベンチャー2』は小学生の頃に友達と一緒にやり込んだ思い出のゲームだし、個人的GCソフトベスト3に入るくらい好きなゲームです。2Dのもやった記憶があるんだけど、あれがなんだったのかはわからないです。


そんな世界中が待ちわびたソニックの実写映画化。
デザイン修正事件やコロナによる公開延期など紆余曲折ありましたが、遂に公開されました。


結論からいうと、、、最ッ高でした!!!


「ソニックアドベンチャー2」を思わせる冒頭で始まり、その後も原作のオマージュをふんだんに盛り込みつつも、全く新しいソニックの物語を構築し、シリーズを知らなくてもOK!誰でもウェルカムな親切設計でした。且つ脚本も素晴らしく笑って泣ける娯楽傑作です。


コロナウイルスによる陰鬱な空気を吹っ飛ばしてくれる自粛明けにもぴったりな映画です!

映画『ソニック・ザ・ムービー/ソニック VS ナックルズ』公式サイト





ということでここからはネタバレ有りで感想を書いていきたいと思います。

あらすじ

はるか遠くのとある星で暮らしていた超音速の青いハリネズミソニックは、特別な力に目をつけた奴等から追われてしまう。不思議なリングの力で地球へと逃げ延び、グリーンヒルズという田舎町で平和に暮らしていたソニックだが、姿をみられるとまた力を求める悪党たちに追われることになってしまうため、人前には決して姿を見せずに孤独に暮らしていた。

彼は町の保安官トムとその妻マディのことを気に入っており、二人の生活をいつも観察していた。

ある日一人で野球をして楽しんでいたソニックだが、ついに孤独に耐えきれなくなりスーパーパワーを暴発させてしまう。それにより強大な力の存在に気づいた悪の天才科学者ドクター・ロボトニックソニックの捜索を始める。

ロボトニックの捜索から逃れるためにリングの力を使い別の星へ逃げようとするが、そこでトムにうっかり見つかってしまい麻酔銃を打たれてしまう。薄れる意識の中、ソニックは開いたゲートにリングを落としてしまう。

リングがないと別の星へは逃げられないため、ソニックトムに自身の秘密を明かし力を借りることにした。こうして誕生した田舎町の保安官と超音速の青いハリネズミという凸凹コンビは、リングを落としたサンフランシスコへと旅に出るのだったー


『ソニック・ザ・ムービー』日本版予告 ※2020年6月26日(金)公開!






とにかく楽しい!

今作、とにかく楽しい。ソニック版のパラマウントオープニングから始まり、ゲームファン歓喜のオマージュ祭り。さらにはアメコミネタや映画ネタなど、今作を観にきたあらゆる人たちを楽しませるための仕掛けが盛り沢山です。かと言って、オマージュが分からない層の人を置いてけぼりにはしていないところが素晴らしい。


知っていればもちろん面白さは上がりますけど、この映画の基本はコメディで、オマージュで笑いをとったり楽しませているんじゃなくて、あくまでもキャラ同士の掛け合いを大事にしている印象でした。


で、そのコメディ部分がちゃんと面白くて、子供も大人も笑える絶妙な塩梅になっています。ソニックがやんややんやうるさいし、ジムキャリー演じるDr.ロボトニックが最高でしたね。ジムキャリーがジムキャリーしてる!!って感じでたまらないです。ダンスのシーンとか最高でした。


あと、序盤のソニックがカメを抱えて猛ダッシュするところも笑いました。カメの泣きそうになっているなんとも言えない表情がすごくおもしろかった。


子供たちもすごく笑っていて雰囲気もよかった〜。
子供が笑えるっていうのがやっぱり素晴らしいですよね。


ゲーム世代だった大人たちだけが楽しめても意味ないですから。
それだとソニックというコンテンツは次世代へ引き継がれていきません。


子供たちが見てソニックというキャラクターが大好きになり、そして映画が好きになる入り口の作品としてバッチリです。 これは作り手がソニックを愛しているからこそできることで、ただ人気ゲームを実写化しようしただけじゃできないことだと思います。


ソニックを愛した世代へ賛辞を贈りつつ、これからの子供たちにソニックの魅力を伝えていくことに見事に成功しているのではないでしょうか。






愛すべきキャラクターたち

今作はキャラクターの魅力も素晴らしいです。少年のような天真爛漫なソニック、どこか憎めない悪役Dr.ロボトニック、自身の今後のキャリアに悩む保安官トムと彼を支える妻マディなど皆個性的で愛嬌のあるキャラクターになっています。


嫌なキャラクターが一人もいないんですね。みんな大好き!映画を観た後はあなたもこの世界の住人たちが大好きになっていると思います。


ソニックはゲームシリーズのキャラクターと比べると子供っぽくて確かに原作通りではないのですが、それでも全く違和感がなくてちゃんとソニックだ!と思えるようになっています。後のエッグマンとなるDr.ロボトニックも僕たちの知っているエッグマンとは違うのですが、見ていてすぐに「あ、エッグマンだ」とわかるようになっています。


キャラの芯になる要素を作り手がしっかり理解しているからなんですかね。
あとは登場時点でこのキャラはこういうやつだていうのがはっきりとわかるので、キャラクターをすんなり受け入れることができて違和感を全く感じないんですよね。さっきも言った通り、作り手に愛があるからこそできる世界観の構築だと思います。


ソニックとトムの凸凹コンビ具合も良いですよねー。超愛おしいです。


あとね、ロボトニックと助手?のエージェント・ストーンのコンビがすごく好き。ストーン君がロボトニックにめためたに言われているのに尊敬の眼差しをむけ続けるのが愛くるしすぎるし、ストーンが作ったラテが大好きなロボトニックがツンデレすぎてウケる。この二人の関係性がエモすぎる。


ただまあ、あの問題に関しては色々思うところはあります。そうですデザイン修正問題です。


ソニックのデザイン修正したことは、結果を考えると正解だったとは思います。初期デザインは怖いですもん。あの姿で今作のソニックをイメージしたらやっぱり違和感が...コメディがあまり入ってこなくなっていたような気がします。パブみたいなところのスローモーションのシーンも怖くなっていたんじゃないかなー


でも不評だったから急遽デザインを修正をしたっていう行動自体は僕はあまりよく思ってはいないです。
ファンやスポンサーなどがゴネれば映画を思い通り変えられるという前例になっちゃうじゃないですか。現にそれで大ヒットもしてるのでそこがちょっと心配です。






オーソドックスを100点でやった脚本

今作の素晴らしい点は脚本にもあります。特に目新しいことはなく、予想を超えた展開!みたいなのも一切ないです。高速移動できるキャラクターはいっぱいいますし、おしゃべりな主人公っていうのもいます。リングでワープする描写は完全に『ドクター・ストレンジ』ですし、ゲームのキャラクターをリアル世界に落としこむというのも既に『名探偵ピカチュウ』が成功していますしね。


ストーリーも特に意外な展開などもなく、オーソドックスな冒険談を描いているだけです。


はっきり言って『ソニック・ザ・ムービー』に斬新さは一切ないんですよ。


それなのにこんなに面白いのは、基本をしっかり100点で作っているからなんですよね。 奇抜なことをしなくても押さえるべきポイントをしっかり押さえることができれば面白い作品はできるということを再確認させられました。

主人公コンビの凸凹な関係性というのも、二人の孤独や葛藤があるからこそ奥行きが生まれてきますし。キャラ設計をしっかり作り上げることで手段としてのコメディに物語的な意味が生まれて、コメディはより笑えて、アクションはより興奮できてっていう良い循環が生まれます。


リアリティラインという点に関しても素晴らしくて、まずソニックを別世界の住人とした上で人間の世界に連れてくる。それだけだとソニックだけが浮いてしまうからDr.ロボトニックというソニック以上に変な人物を登場させる。
でもロボトニックは人間世界の住人というラインは超えてはいけないので、見た目はより人間的で僕たちの知っている「エッグマン」とは離れたものにする。
そして全体をコメディ調にすることで違和感を限りなく消すことで、リアルと非リアルの境目がぼやけていきます。


さらにソニックには孤独というより人間的な悩みを持たせ、観ている人に「これは私の物語だ」と思わせ自然にソニックをこちら側の世界へ受け入れられる態勢を作らせる。それでソニックという存在が完全にリアルとして受け入れられたところでロボトニックをキノコの星に飛ばし、「エッグマン」を誕生させる。


実写映画として完璧なリアリティラインの構築なんですよね。ゲームの世界とこっちの世界が繋がることに対して全く違和感がないんです。オーソドックスで王道な展開っていうのも大したストーリーがないっていうのも全部この世界観を壊さないための支柱として機能していて、何度もいいますけどやっぱり作品に愛がないとできない芸当だと思います。


普通を当たり前にできるってすごいですよね!






タレント吹替問題

あとこれだけどうしても言っておきたいんですけど、中川大志さんの吹替がすごく良かった!全く違和感がないし完全にソニック!


僕はこの作品についてキャストとかの情報は何も調べないで観に行ったんですが、エンドロール見るまで声優の方だと思っていました。


最初に声を聞いた瞬間は金丸さんじゃないのかーとがっかりしましたが、フタを開けてみれば映画版ソニックにぴったりな声だったし、中村悠一さんや山寺宏一さんなどの実力のある声優の方々と並んでも引けを取らない出来だったんじゃないかと思います。


なんかのインタビュー記事で「声優の勉強をする場ではない」と言っていたり、一度はオファーを断っていたということが書いてあってこの人もまた『ソニック』という作品に愛と覚悟を持って臨んでいたんだなと伝わってきました。


タレント声優には僕も思うところはあります。

lociepatay.hatenablog.jp

ただ、全員を「タレント声優」と一括りにして馬鹿にするのは良くないですよね。 もちろん失敗していることも少なくありませんが、今作の中川大志さんに関しては最高でしたよ。






最後に

といった具合に僕は大絶賛です。細かいゲームの設定など小ネタが散りばめられていたのも発見できた時すごく嬉しかったりなど大いに楽しめました。


まあ、目新しさを求める人にはちょっと物足りないかもですけど、素直に笑って泣ける娯楽映画としては最高だと思います。子供も大人も楽しめますし、コロナ明けに見る映画としてもぴったりですよ。この映画を観た子供たちはきっとソニックが大好きになると思います。


最後にテイルズが出てきたり、ナックルズ一族の存在も匂わせたりなど、続編も作る気満々でしたね。カオスエメラルドとか出しても良いですし、それこそシャドウとかが出たりなどもあるのかな。続編を重ねていくに連れて僕たちの知っているソニックのような性格になっていっても違和感はありませんし、どうとでも広げられそうです。ただ、広げすぎには注意して欲しいですね。

「スーパーマリオ」も既に実写化されているのでコラボも出来ますね!