2020年公開映画ワーストです。
今年はワーストランキングなんてできないくらい面白い映画しかないといいなと思っていたのですが、残念なことに今年も残念な映画に出会ってしまったのでやります。
あくまでも個人的な意見ですので、ここで選ばれた作品が好きな方を否定するつもりは一切ございません。
あとはもちろんの話ですが、2020年に公開された全ての映画を観ているわけではないので、この作品の方がひどいでしょ!っていうのもあると思います。
じゃあ早速発表したいと思います。
- 10位『ステップ』
- 9位『グッドバイ 嘘からはじまる人生喜劇 』
- 8位『ミッドナイト・スワン』
- 7位『劇場版 今日から俺は!!』
- 6位『ペットセメタリー』
- 5位『シグナル100』
- 4位『STAND BY ME ドラえもん2』
- 3位『カイジ ファイナルゲーム』
- 2位『ヲタクに恋は難しい』
- 1位『新解釈・三國志』
- 番外編
10位『ステップ』
個々のエピソードはたしかに良いんだけど、点を並べているだけで線が見えてきませんでした。
なんというか、終始スクリーンの向こう側の出来事なんですよね。
娘の美紀が2歳から12歳までの10年間を2時間にまとめているわけだから、早足になるのもわかるんだけどそれにしても間と間を端折り過ぎていてこれじゃあステップっていうよりジャンプだよ〜って思ってしまいました。
余白があるのは良いけどさすがにありすぎる。
それと、子役をリレーさせたことも意図はわかるんですけど、あんまり効果はでてないんじゃないかな。
3人の演技は素晴らしかったですよ。なんですけど急に役者が変わる違和感のほうが強かった。えっいま何歳なの?っていうのがちょいちょいありました。
で、一番ノレないのが、娘の美紀ちゃんがいい子すぎるんですよ。
全てのエピソードが最終的に美紀ちゃんいい子だね解決する。
ちょっと大人にとって理想の子ども像過ぎじゃないかなと思いますね。
9位『グッドバイ 嘘からはじまる人生喜劇 』
2.14(金)公開『グッドバイ~嘘からはじまる人生喜劇~』本予告
小池栄子さんの演技は素晴らしかったです。でも映画そのものは特に笑えもしないし感動もしませんでした。
まず、主人公の田島がモテる理由がよくわからない。女性の弱みにつけ込むのが上手いとか、話術が巧みとかなら理解できるしそんな感じの描写はあるんだけど、冒頭で顔がいいからモテるっていうシーンがあってそれは全く説得力がないです。
大泉洋さんをディスってるとかじゃなくて、劇中で田島がそういう人物として描かれていないのに、容姿がいいのにモテるみたいな理由がメインになっているのが全然理解できないっていう話です。
まあそれくらいなら全然いいんですけど、なによりこの映画にでてくる男性が軒並み気持ち悪くて見てらんないんですよね。
キヌ子があんなことされておいて田島に惚れるのも全く理解できない。
描くべき過程や心情描写を全部すっ飛ばしているからバカ男とバカ女がわちゃわちゃやってるだけにしか見えなかったです。
ということで全くノレずでした。
8位『ミッドナイト・スワン』
今作は点数で考えるなら全然低くないんですよ。忖度してるとかじゃなくて本当に80点くらい。
草なぎ剛さんはじめとした役者方の演技は本当に素晴らしかったですし、映像の質感とか音楽もめちゃめちゃよかった。
当事者たちのリアルもしっかり描きこんでいるというのも前半ですごく感じました。好きなシーンもいくつかあります。
ただ、残りの20 点の部分が個人的には絶対に落としてはいけない20 点でそれが作品そのものの質を著しく損なわせていると僕は思っています。
詳しくは別記事にかいているのでそっちを読んでいただきたいのですが、それは今でも意見は変わっていません。
今作の記事を書いたあとに「みんなが好きだと言っているものを批判して意見を押し付けようとするな」とか「これは映画やドラマであって娯楽だからww」みたいなことけっこう言われたんですけど、はっきり言って理解不能ですね。
褒める意見しかいってはいけないとかどこのディストピアだよって思いますし、フィクションが、娯楽が現実社会に与える影響なんか生きていれば至るところで体感すると思うんですけどね。
それからこの映画の主人公がたまたまトランスジェンダーだっただけで全体を指すわけじゃないみたいなことも言われたんですけど、そんなわけないじゃないですか。
映画やドラマってどこからか自然発生するものなんですか?
作り手という人たちがいて、その意思が大きく反映されているものじゃないですか。
よし、主人公をトランスジェンダーの人物にしよう。こんな物語にしよう。演じるのはこの人にしようっていう意思が介在するんですよ。
たまたまなんて存在しない。無意識であろうがそこには作り手の経験や考えっていうのが反映されるものなんですよ。
だから僕はこの映画の問題をそういう都合の良いきれいな言葉で包んで片付けてはいけないと思います。
7位『劇場版 今日から俺は!!』
まあここに入っているくらいだから面白くはなかったんですけど、酷評するほどつまらなかったわけでもなくて、言うならば【無】です。
なにもなさすぎてどんな感情も湧いてこない。たぶん今年1記憶に残らない映画だったと思う。
まじで他に書くことないので次に行きます。
6位『ペットセメタリー』
スティーブン・キング原作で1989年に制作された同名映画のリメイクですね。
まあそりゃ技術は格段に進化していますし、怖さを演出する方法っていうのもバリエーションが増えていますよ。オリジナル版の欠点だったところも改善されているし、より怖いものを作ろうという志も感じ取れる。
でもさ、リメイクする必要あったかな......
内容がほぼオリジナル版と一緒だし。まあまあまあ一緒だけなら全然いいですよ。
中途半端な改変がオリジナル版にあった真の恐怖というものを消していて表面的な怖さだけの作品になってしまっていたんですよね。
なのですごくがっかりなリメイクでした。
5位『シグナル100』
前半は勢いがあって良かったけど......
序盤の橋本環奈のセリフが全てだと思います。
「だからなに?」
なんでこんな脚本になったんだろう。垣間見える、ここをもっと描けば絶対面白い!っていう要素を全部無視して進んでいくから苦笑いするしかない。
先生像も今までの学校デスゲームものになかった人物像にしたかったのかわからんけど『バトル・ロワイアル』と『悪の教典』の教師を混ぜてお互いの良かったところを抜いたような中途半端なキャラクターになってるし。
メッセージ性もある風に見せているだけだし、デスゲームってことだけをとって見ても大失速が痛く胸糞でもなければ感動もしない。
撮影は良かったと思います。
4位『STAND BY ME ドラえもん2』
大人のび太の倫理観が狂っている、しずかちゃん洗脳されてるの?ってくらいの従順ぶり、おばあちゃんが言動をプログラムされた人形にしか見えない。
各キャラクターが全く生きているようには見えなかった。
問題の解決方法も意味不明。散々時間軸をぐちゃぐちゃにしておいて、命の危険が迫る問題が起きたときだけタイムパラドックスを気にしだしてなんで今さら?という違和感がすごい。すげー感動的に見せてるけどあれをああすれば一瞬で解決するよね。
てか根性論ってなんだよ。てかまず謝れや!僕の幸せがしずかちゃんの幸せなんだじゃねーよ!倫理観狂ってんな!
ドラえもんってそもそも泣けるコンテンツとして消費する作品なのかという疑問は置いておいても、それ以前の問題で泣ける泣けないとかのレベルじゃないです。
3位『カイジ ファイナルゲーム』
1、2作目は好きだったんですけどね。どうしてこうなった......
オリンピック後に大不況が起きたというのはまあいいや。でもディストピアを表現したいがために街全体が平成初期くらいまで後退しているのが意味わからんし、そのくせスーパー貧困損の人たちがiPad使って高そうなドローン操作していたりとかリアリティラインが破綻している。
政府の一連の行動も意味不明だし、俺(中学生)が考えた最悪な日本であまりにもお粗末でひどいです。
ディストピアや荒唐無稽な世界っていうのは圧倒的なリアリティの上で成り立つものであってその根本から今作は破綻しており擁護のしようがない。
カイジの世界だって、この社会のどこかにカイジたちのような人間がいて僕たちの知らないところで命がけのギャンブルが行われているという、リアリティの上に荒唐無稽な世界が成立しているのであって無条件で荒唐無稽な世界が受け入れられているわけではない。
肝心のゲームもクソofクソ。
なんだ9か10か聞き取れないって。しかもその解決方法がさー......伏線の張り方が気持ち悪いです。
さらには全部ご都合展開でしょ。帝愛はあんなにカイジに優しいんだよ。なんで警備員のただ一人もいないんだよ。
あとさ、観客が秤に金貨投げ入れるくだりおかしくね?秤に入らずに地面に落ちた金貨は無効になるんだよ。
思いっきりぶん投げるやつ馬鹿じゃね?
一番意味わかんないのが12月31日にこんな映画見てる僕だよ。アホか。
2位『ヲタクに恋は難しい』
なんでもかんでも福田節を入れれば面白いという考えは辞めた方がいいと思います。
今作に関しては終始どスベリしてましたよ。
無理やり佐藤二朗とムロツヨシ入れる必要ありますか?
ニコニコ動画のコメント風な演出とか邪魔でしかないし、こんな演出やこんなセリフを言っておけばオタクの皆さんは笑うんでしょ ?っていうのが透けて見えるし全部外れてる。
原作がオタクを茶化したギャグでも笑えるのはリスペクトのある自虐的ギャグだからです。
ただ気持ち悪さを前に出して茶化せばいいってもんじゃない。
公共の場で騒いだり、大声で下ネタ言ったりとか、はーいオタクのみなさんはこんなに気持ち悪いですよねーってやって終わり。
フォローもないしただただ失礼だと思います。
キャラクターに関しても見た目を似せるのは確かにうまいけどそれだけ。
原作リスペクトが全く無いのが丸わかり。
例えば実写映画の『弱虫ペダル』は見た目はあまり似せようとはしていないけど、性格や立ちふるまいでちゃんとそのキャラクターだと思えるようになっていてそれは原作に対するリスペクトがあるから。
今作はこの人はそんなことしないのオンパレードでひどすぎる。
第一に主人公の成海はオタクということを普段は隠しているOLなのに仕事中もプラベートでもしょうもない顔芸をするばっかりで機微がない。それで隠せている設定は無理がありすぎる。
『トクサツガガガ』とかみて勉強した方がいいよ。
樺倉先輩そんな性悪上司じゃねーから!!
ミュージカルシーンも『ララランド』を真似するばかりで必要性を全く感じない。『ララランド』やってればミュージカル映画好きも喜ぶんでしょ?という『ララランド』にもミュージカル映画好きにも失礼な行い。
せっかく楽曲はいいのに冗長で退屈でシンプルに邪魔。ミュージカルシーンのせいで全体的に尺がなくなってストーリーが薄ーーーーーーーーーーーーーくなってたら本末転倒でしょうよ。
福田節を出したいんなら原作通りに4人の会話劇メインにすれば良かったじゃないですか。
ひどい、ひどすぎる。
1位『新解釈・三國志』
今まで福田雄一監督は思うところあっても嫌いではなかったんですよね。『勇者ヨシヒコ』とか好きでしたし。
だから今日まで作品を見続けてきたわけですけど、うーん......
まず第一に、西田敏行さんが演じる学者の最後のセリフからもわかるように、“新解釈”という言葉を批判から逃れるための言い訳として使っているだけで卑怯この上なくてすげー嫌い。
こうなったらもう終わりじゃないですかね。
それになにが一番ダメかって、役者陣すら楽しそうじゃないんですよ。役者同士の関係性は良さそう。でも作品そのものに対するスタンスが全然楽しそうじゃない。
そういう飽きてきている空気感が演者からも感じられるようになったらもうダメじゃないっすかね。
渡辺直美のダンスシーンは面白いけど、あれは渡辺直美さんの“芸”が面白いのであって映画どうこうじゃない。
それから城田優さんに「中途半端な外人顔」って言うシーンね。あれ最低最悪ですよ。
貂蝉が董卓と呂布を仲違いさせるために言ったという文脈はあるけど、そもそもギャグ場面として描いている時点でそれが面白いと思って言わせているわけで擁護のしようがない。
差別的で露悪的な最悪なセリフです。
今作をピークに“福田雄一”というコンテンツは衰退していくと思います。
テレビドラマならまだ大丈夫だと思いますよ。てかコント番組の1コーナーじゃ駄目なんですかね。なんで映画にこだわるんだろう。
番外編
ということでワースト10でした。
福田雄一監督作品全部入っちゃってますけど、さっきも言った通り別に福田監督自体が嫌いではなかったんですよ。
でももういいかな......
ワースト10には入っていない作品で言えば、『キャッツ』とか『がんばれいわ!!ロボコン ウララ〜!恋する汁なしタンタンメン!!の巻』『ぐらんぶる』とかはヤバいんだけどワーストに入るような作品ではなくて、むしろ好きくらいの感じです。
特に『キャッツ』は制作陣のやろうとしたことが全て完璧にうまくいった結果があれなので、フィクションとリアルの境界線を考える上でめちゃめちゃ重要な一本なんじゃないかなと思っています。だからひどいはひどいんだけど、僕だけは応援してあげたいという気持ちです。
そんなところですかね。
念押しでもう一度言っておきますけど、ここで挙げた作品が好きな人を否定する気は全くありませんので。真逆の意見の人の話を聞くのとかもめちゃくちゃ好きです。
毎年言っているけど、2021年はワースト作品なんてないといいなあ。