【感想】今までに見たことのないルックの邦画!!『さんかく窓の外側は夜』

こんにちは。
今回は映画『さんかく窓の外側は夜』の感想です。


始めにネタバレなしで映画紹介、その後ネタバレありで感想を書いていきます。


ネタバレ前に忠告しますので見逃さないでね。





『さんかく窓の外側は夜』


監督:森ガキ侑大
脚本:相沢友子
原作:ヤマシタトモコ 「さんかく窓の外側は夜」 (株式会社リプレ刊)
主題歌:「暗く黒く」ずっと真夜中でいいのに
撮影:近藤哲也
音楽:山口由馬
スタイリスト:Babymix
出演:志尊淳、岡田将生、平手友梨奈、滝藤賢一、筒井道隆、マキタスポーツ、新納慎也、桜井ユキ、和久井映見
上映時間:102分
配給:松竹

movies.shochiku.co.jp





BL×ホラー×ミステリー


ヤマシタトモコさんの漫画が原作の「さんかく窓の外側は夜」


失礼ながら原作漫画は名前を知っているだけで読んだことはありませんでした。どんな作品なのかも全くわかっていなく、今回映画化に際してホラーなんだーと知ったレベルです。


なので原作と比較してどうこうは言えません。鑑賞後に1巻だけ読んだのでその程度のことは言えるけどあくまでも映画単体で観た感想です。






いや〜良いじゃないですか!予想外の当たりでしたね。


ホラー×ミステリーのバランスがよくできていて、且つ関係性映画としても素晴らしい。


この手の邦画はあれもこれもとやった結果、全部中途半端になって薄くなるパターンが多かったんですけど、今作はバランスがバッチリでしたね。


ホラー苦手な人にもおすすめできるし、且つホラー好きな人も楽しめると思います。


俳優目当てで見に行くのも全然良いと思います。メイン3人はすごく美しいし、演技も良い。序盤と終盤の表情の変化が良かったんですよねー。


平手友梨奈さんは『響-HIBIKI-』といい役に恵まれていますよね。もちろん演技力あってゆえですけど、当て書きかと思うようなハマり具合なんですよね。


音楽も強いけど前に出過ぎず映像に馴染んでいて、今までの邦画ではあまり見たことがない感じだったし、映像の質感も最高。衣装や美術、構図などすごく計算して作られていることがひと目見ただけでわかります。特に黒の映え方がめちゃめちゃ良かったですねー。


あとは無駄な恋愛要素がないのが素晴らしい。このキャスティングなら全然ありえるからさ。アイドルだからとかイケメン俳優だからってだけの必要ない恋愛要素とかエロ要素とかいらんのよね。志尊淳さんと岡田将生さんに必要以上にエロ要素を付与させていないのが良い。漫画だとよくても実写になると邪魔でしかないということもたくさんあるのでこの判断は素晴らしい。


でもちゃんと関係性映画として最高になっているから良いんですよ。尊いよ......


「信じる力」もあれば「信じない力」もある。その両面性をしっかり描いていることや、現代における【呪い】とはなんなのか。そして呪いをかけるということはどういうことなのか。そこにも逃げずに向き合っていてメッセージ性もある。


好き嫌いは自由だけど、他人の意見で見に行くかどうか決めるには勿体ない映画ですよ。


ということでここからはネタバレありでより詳しく感想を書いていきたいと思います。ネタバレが嫌な方はここでブラウザバックしてください。


この先読んでくれる方はどうぞよろしくお願いいたします。あなたの感想も是非聞かせてください。

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(C)2021「さんかく窓の外側は夜」製作委員会 (C)Tomoko Yamashita/libre



並々ならぬ映像へのこだわり


まずなんと言ってもキャラが良いですよねー。なんだかんだ言ってもビジュアルは大事ですよ。


別に美男美女を使えって言ってるんじゃなくて、街や建物、部屋などストーリーや世界観にあった美術が大事なように、キャラクターのビジュアルも同じくらい大切なんですよ。ルックで説得力がなければストーリーがどんなに良くても違和感を覚えてしまうんです。


こんなこと思った経験はないですか?主人公が地味でモテない設定なんだけど、どう見てもお前はモテるだろってこと。


そういうことを思ってしまったらどんなに話が面白くても、いやでもこの主人公ならそりゃ上手くいくでしょうよって思っちゃいませんか?


でも美男美女な俳優でもこれはモテないなって思うこともありますよね。


それなんですよ。

俳優自身の見た目とか演技以外にも、作られたビジュアルってとても大事で、その点で今作は非常に説得力があるんですよね。ちゃんとこういう性格でこういう風に育ってきたならこの見た目になるよなという説得力がある。この時点でグッと映画の世界に入り込めるんです。


それは衣服であったり、髪型や身につけている小物などから滲み出るわけです。


例えば冷川の髪は漫画だと金髪だけど映画では黒髪に変わっていますよね。これは監督も言っていたことなんですが、漫画だと金髪でも違和感がないことが実写になると金髪であることに意味が生まれるんですよ。


つまり、なんでこの人は金髪にしたんだろうなどの疑問が浮かんできてしまうわけですね。金髪か黒髪かだけのことが、人物の性格やバックボーンに影響を与えるのです。


三角にしても漫画より弱々しい印象が強いけど、それによって物語が進むにつれての彼の変化に説得力が生まれています。


あとは志尊淳さんと岡田将生さんが元々持つ美しさも相乗効果を生み今作の世界にグッと惹き込んでくれる。


演技も良かったですよ。特に全員の表情が良い。物語が進むにつれての心情の変化が表情だけでわかるんですよ。


あと撮り方ね。キャラ同士の関係性が変化すると人物の写し方も変わる。物語のテーマ性においても映像で語っていて、心の内と外を三角窓や六角形の部屋などで表し、そこに他者が入り込んで来る構図が使われています。それによって言葉で説明しなくても視覚的に作品テーマが感じられるようになっています。


このように映像で示す技術が他の邦画と比べて突出しているんですよね。


この辺の映像の質感だけでも、他の邦画では見たことがなくてすごく楽しめました。




メッセージ性とのミスマッチ


まあただその技術と作品のテーマがミスマッチしているきらいはあるんですよね。メッセージを伝えたい層にちゃんと届くのかなーっていう。


たぶん説明がないから意味分かんないっていう感想の人もそこそこいるんじゃないかなー。


今作で語られる【呪い】っていうのは言霊です。死ねとかキモいとか消えろとか。これは劇中ではっきり語られていますね。


これを現代で考えると......つまり、“SNS”なわけですよ。これも監督がインタビューなどで言っているから探して読んでみてね。


で、この映画のメッセージというのが人にかけた呪いは自分に跳ね返ってくるということです。


ラストシーンの意味もそういうことで、非浦がかけてきた呪いっていうのは本人が改心したところで消えないんですよ。一度呪いをかけた時点で一生それを背負わなければいけないわけです。それを腕に浮かぶ痣で示しているのがあのラストシーンですよね。


でもSNSで誹謗中傷をするような層っていうのは極めて読解能力が低い人たちだと思うんですよ。


1から100まで言葉で説明されないと理解できない人たちね。


だから映像でいくら示しても読み取れないと思うんだけどなー。


もちろん自身を振り返って「あっ」て思う人もいると思いますよ。でもそういう人はそもそもSNSで暴力性に満ちた誹謗中傷とかしないんじゃないかな。


うーーーん、難しいところですね。




あくまでもパーソナルな世界の物語


という欠点も感じるんですけど、ストーリーに関してはあくまでもパーソナルな世界に留めているのが良いなと思いました。無駄に話を大きくして日本を救うとかそっち系に行かなくて良かったなと。


始まりから終わりまでずっと“個人”の話をしているんですよね。


三角、冷川、非浦の3人は自身の能力とそれによって引き起こされた過去とどう向き合うか、他者とどう関わり合うのかが、「信じる力」「信じない力」というキーワードを通して語られるわけです。


要するに「私」と「あなた」の話なんですよ。


私がいてあなたがいる、あなたがいて私がいる。その積み重ねの先に世界がある。


だからエロい表現がなくても、BL的要素を感じるのだと思います。


これは三角、冷川、非浦、そして刑事の半澤、このメイン4人以外の登場人物にも言えることで、例えば今作の黒幕である教団の教祖の石黒も同じ。彼が冷川や非浦を利用したのも私利私欲のため。彼なりの崇高な目的があるとかじゃなくて富、権利が欲しいから。


政治家云々の話もちゃんと解決しているんですよ。


あれは石黒が自分にとって邪魔な存在だから非浦を使って殺していただけで、国家転覆とかそういうことじゃない。もっと個人的な私利私欲の問題。だからあの件は、貯金箱が壊された時点で解決しているんです。


石黒自身に呪いをかけたりする能力はないので非裏や冷川のような存在がいないと新たな貯金箱を作ることもできません。それに劇中でも言ってましたけど、呪いを使って人を殺すとかは証拠がないので警察がどうこう、法律がどうこうできる問題じゃないんですよね。あれ以上語る必要がないんです。


なので続編があるとすればそこら辺でしょうね。石黒が死んだわけでもないので、根っからの悪の能力者が出てきてまた事件を引き起こして、今度は直接対決......みたいなパターンは考えられますよね。


でも正直それだと蛇足でしかないので、そのパターンなら続編はいらないかなー。せっかくパーソナルな物語できれいに終わっているので野暮なことはしないでほしいというのが正直な気持ちですね。


ちなみに北川景子さんのちょい役も良かったですよね。


主役を張れる役者が出てきて重要人物かと思わせておいて全く違うという。あれもメイン4人のパーソナルな物語ということを強調していて良いです。カメオ出演ってこういう効果もあるんだなーと思いました。




終わりに


いや〜良かった。思っていた数十倍面白かったです。


適度なホラーとグロのバランスが絶妙でしたね。なにより映画のルックが邦画としては新しくて楽しかった。音楽も印象的でした。


あ、あとオープニングがあったのが良かった!かっこいいオープニングがあるとそれだけでテンションあがります。


食わず嫌いするのは勿体ないんじゃないかなー。もちろん好き嫌いはあると思いますけど、他人の評価で決めるんじゃなくて自分の目で観て評価してほしいと思えるような作品でした。


まだ観ていない人は是非映画館へ。