【クソ映画の沼】『多動力 THE MOVIE』を観て一歩も動けなくなった話

みなさん、『多動力』って覚えていますか?
2017年に刊行され大ヒットを記録したホリエモンこと堀江貴文氏のビジネス本です。

働き方における既存の型を壊す内容で、色々な人に勇気を与えた一冊だと思います。この本に影響されて、「俺は原液を作る側になるんだ!」と言いマルチビジネスにはまっていく人をたくさん見ました。

型にははまらない!人生を楽しむ!!多動力!!!と言いながら高そうな肉食べたりルブタンの財布と靴を身につけてたりしていました。 本自体は決して間違ったことを書いてるわけではないと思うんですけど、ウケるなって感じです

ただまあ、僕はここで『多動力』の是非を問いたいわけではないのです。多動力に見た目だけ影響された人とかもどうでもいいです。

なぜ僕が『多動力』を話題に出すのか...

みなさん、『多動力』って映画化されたの知ってましたか...?
おそらく堀江氏のオンラインサロンとかで映画作ろうぜ!みたいなノリで作られた映画です。知らんけど。 クラウドファンディングなんかもやっていました。 3000円でエンドロールに記載されたり10000円で出演権を得られたりといった内容です。出演権付のリターンに30人くらいパトロンがいましたね。 10000円払ってこんなのに出演したい人なんているんですね。
50000円で自社商品や看板を映画内に出せるリターンなんかもあって2人パトロンがいました。 なんの宣伝になるんだろう。

それがアマゾンプライムビデオで配信されていたわけです。 観るしかないですよね。

ホリエモンのビジネス、ひいては人生における考え方を“映画”という媒体を使ってより多くの動き出せない人たちに伝える。 この映画を観ればあなたも今すぐ動き出したくなる!そんな映画です。

まずは予告編から見てください。


多動力 THE MOVIE ~予告動画~

わくわくしてきますね~

予告を見たあなた、どんなストーリーか分かりましたよね。あなたが想像したストーリーでおそらく間違っていないと思います。 現実社会でネガティブに生きる人たちが多動力を知り一歩踏み出す勇気を得る、そういう作品なのだからストーリーはそうなるでしょう。

わからなかった人のために端的に説明すると、ZUZUTOWNが宇宙の磁場の乱れによって無人島に飛ばされ、そこで鈴木君が多動力を身に着けていくというストーリーです。
多動力を伝えるためにはこれ以外ないというストーリーですね~。

ぼくは観ていて総毛立つ感覚を覚えました。そしてどこか懐かしい感覚。学生時代にこのゾワっとした感覚を体験したことがあるような気がします。

今作はダブル主人公。無人島生活のなかで多動力を身に着けていく鈴木君と、彼に多動力の教えを伝える堀口先輩の二人です。

鈴木君はシェフになりたいという夢を持っていたが、安定を選びサラリーマンになる道を選ぶ小利口な人物です。 安定を求めたはずが、そこにあったのはつらい現実。「メールしたならメールしたって電話しろよ!」と上司に怒られ、必要のない会議や資料作りを行い毎日最後の一人になるまで残業。 日々精神が削れる鈴木君です。

そんな彼のパソコンには“悪霊退散”と書いた御札が貼ってあります。意味不明です。「上司よ、お前は悪霊だ」という煽りでしょうか。 毎日朝から目の前に“悪霊退散”という御札があるのはどんな気持ちなんでしょう。 まわりの人はツッコまないのでしょうか。なぜそこに無関心なんでしょうか。 僕だったら、会社のパソコンに“悪霊退散”の御札が貼ってある人がいたら興味しか湧きません。絶対ツッコみます。そこで多動力を発揮します。

そんなもの貼ってるからさらに気が滅入るのではないでしょうか。

堀口先輩は鈴木君と同じ会社で働く会社員でありながら、経営者としての裏の顔を持つまさに多動力を体現する人物です。 彼はホリエモンの名言を引っ提げ多動力を鈴木君に、そして我々に教え伝えます。劇中では変人扱いされていますが、他の人がイカれすぎてて一番まともな人間だと思います。

主人公二人を支える同僚たちも魅力あるキャラクターばかりです。

残業続きで疲れているところを同僚に励まされるも元気がでない鈴木君。 それもそのはず、同僚のこいつらはド畜生なのです。

鈴木君が毎日終電まで仕事をしているのを知っているのに、珍しく早く仕事が終わった時には自分の仕事を押し付けてきます。女性社員に対して「ももちゃんは今日も元気だねえ、俺の癒やしだよお、そんなももちゃんにコーヒーを持ってきてもらおうかな」

てめぇで持ってこい。

前時代的な会社を憂う立ち位置の人がゴリゴリに前時代的なことをしているってどういうことですか...?もしかして、ひどい環境からはそう抜け出せないという社会風刺でしょうか。

そんなセクハラを受けるももちゃん役の人はエンドロールに流れるメイキングでひたすらにおっぱいおっぱい言ってました。

他にも報・連・相の相がなにか分からない無能課長など個性の塊なキャラクターたちです。

あと会社名がZUZUTOWNなのは確実に喧嘩売ってます。

就職支援課の女性、「鈴木君も宇宙に行っちゃうのかなあ~ww」とか言ってました。 前○さんめちゃめちゃ煽られてますよ? 今作の敵にあたる、前時代的なブラック企業の社名それでいいの?社長どクズだったよ?

前○さんに許可とったのかな?とったんならそれでいいんだけど...

無人島に飛ばされた後も上層部の命令によって仕事をする社員の人たち。 そんな中ひとりだけサバイバル生活に備える男がいました。そう、堀口先輩です。 堀口先輩に「目の前はジャングルで、ここが地球でない可能性すらあるのに働くなんて馬鹿か」と笑われ、「確かにそうかも」と納得する鈴木君。

いわれる前に気づけ。

大体、無人島に飛ばされたのに仕事をするという発想が理解できません、堀口先輩が変人だみたいな扱い受けてたけどどう考えても変なのは君たちだと思うぞ。
百歩譲って上司が仕事しろ!と言っても暴動が起きると思うのですが。まあ、ブラック企業だし社畜なのであるあるなのでしょう。知らんけど。

とにかく堀口先輩の一言によって目が覚めた鈴木君はここからサバイバル術の会得に尽力し、多動力を身に着けていきます。 そして彼の行動がまわりの人たちにも影響を与えていくのでした。

その裏で悪の計画を企てるのが社長です。ドクズ社長は自分ひとりだけが生き延びるための計画を大声で喋りながら画策するのですが、後ろに社員います。

誰にもばれずに悪だくみしているつもりですが、後ろに人います。 でもばれません。後ろのお前はなんだ。

そんなこんなで果たして鈴木君たちは日本に帰ることができるのか!ブラック企業に搾取された人生を取り戻すことはできるのか! その結末はアマゾンプライムかU-NEXTで! めんどくさくなったのは内緒の話。

ちなみに僕がこの映画で一番のおすすめシーンは、なんか知らん人たちの飲み会を見せられる地獄の時間です。 アホが一気飲みしたりする様やよく分からない寸劇を見せられたりします。

居酒屋の店主が着ていたTシャツに書いてあった礼神伝シャルル響とは千葉県のよさこいチームだということくらいしか頭に入ってきません。

なんか知らんやつのマルチビジネスの集会みたいなシーンなんかもあります。 一応、さっき出てきた堀口さんのすごさを示すシーンではあるんですがなんの必要もない。 パタヤにいる女性の谷間をやたらと映すのになんか意味あるのでしょうか。

まあ十中八九クラウドファンディングのあれでしょう。 たぶん出演権つきリターンに出資した人を一気に処理的なことでしょう。

1万円出してこのシーンに出演した30人にどんな気持ちか聞いてみたいです。

内輪ノリがさらに内に向かっていく要素をどんどん継ぎだしていく今作。 堀江貴文氏に一切関係ない人でこの映画を観て「多動力」ってすげー!と思う人がいるなら教えてください。 ぼくはこの映画を観た後一歩も動けませんでした。

パタヤで思い出したけど、この映画やたらと女性の胸をクローズアップします。これに関してはただシンプルに気持ち悪いのでやめたほうがいいと思います。