※ネタバレあり感想です。
感染爆発が半島を崩壊させてから4年後、家族を守れなかった元軍人のジョンソクは、亡命先の香港で廃人のような暮らしを送っていた。そんな彼のもとに、ロックダウンされた半島に戻り、大金を積んだトラックを見つけ、3日以内に帰還するという仕事が舞い込む。
だが、潜入に成功したジョンソクのチームを待っていたのは、さらに増殖した感染者たちと、この世の地獄を楽しむ狂気の民兵集団631部隊。両者に追い詰められたジョンソクを助けてくれたのは、母ミンジョンと二人の娘の家族だった。
大金を奪えばこの国を出られるという最後の希望にかけて、手を結ぶことにした彼らの決死の作戦とは──?
公式サイトより引用
『新感染半島 ファイナル・ステージ』
【公式】『新感染半島 ファイナル・ステージ』本予告 2021/1/1<元旦>公開
監督/脚本:ヨン・サンホ
出演:カン・ドンウォン、イ・ジョンヒョン、イ・レ、クォン・ヘヒョ、キム・ミンジェ、ク・ギョファン、キム・ドユン、イ・イェウォン
上映時間:116分
配給:ギャガ
面白いんだけどさ......
ダサ邦題で話題になり、あまりの面白さにさらに話題となったヨン・サンホ監督の『新感染 ファイナル・エクスプレス』
4年の時を経て帰ってきたシリーズ3作目はパンデミックによって崩壊した半島のその後を描く作品となっています。
ぼくはこの時をずっと楽しみにしてましたよ。
2017年、学校帰りに全く期待せずにふらっと観に行ったらめちゃくちゃ面白くて周りの人におすすめしまくった思い出。
マ・ドンソクを知ったのもあの時でした。
韓国映画が世間一般にも注目され始めたのって確かこの辺くらいからですよね。韓流ドラマから始まってちょっとずつ土壌が作られていって、それが完成したのが2017年辺りな気がする。
『哭声』『アシュラ』『お嬢さん』が韓国映画激ヤバ三兄弟みたいな感じで同時期に公開されていたのをめっちゃ覚えています。
で、その勢いの火付け役になったのが『新感染 ファイナル・エクスプレス』でした。
その後、『パラサイト』とか『愛の不時着』『梨泰院クラス』で一気に爆発したという感じだとおもいます。
そういうことでめちゃめちゃ楽しみにしていたわけですけど、結果から言うと「おもしろいけど......そういうんじゃないんだよな......」って感じです。
まず良かったところから。
なんと言ってもアクションですよね。
これに関しては凄いとしか言いようがない。カーチェイスの場面は特に素晴らしいし、大量のゾンビを体当たりで吹き飛ばしていく様子はすごく楽しかった。
マッドマックスと言われているのもよくわかる。そりゃあこんなん楽しいに決まってるでしょ!
「あーあれがここで活きてくるんだ!」っていう場面と場面の対応のさせ方も、わかりやすいものからさりげない部分までお見事。特に人が死ぬ象徴として出てきたものが別の場面では一転して生きるためのものとして出てくるという物事の表裏一体感はすごく良かったです。
構成力はさすがヨン・サンホ監督といった感じです。
だからさ、良いよ。楽しい!最高!..................なんだけどさ......ちょっと違くね......
なんだろうね、観たかった『新感染半島』とは違ったよね。
まあそれはこっちが勝手にこんなのがいいなって期待しているだけだから別にいいんだけど、シンプルに脚本弱くないですか?
ストーリー面は正直おもしろくなかったですね。
前作の『新感染 ファイナル・エクスプレス』がなぜおもしろかったというと、キャラが全員立っていたからなんですよ。
マ・ドンソクは言わずもがなですけど、主人公や娘、高校生グループ、おばちゃん二人組みんなキャラ立ちしてたじゃないですか。
だから誰がいつ死ぬかわからないドキドキ感があった。
その上でエンタメに振り切っているからゴア描写がなくてもちゃんと怖いしグロい。
一方シリーズ1作目の『ソウル・ステーション パンデミック』は印象に残るような個性の強いキャラがいるわけじゃないが、徹底して現実社会をゾンビパニックに落とし込み、ゴア描写と救いのない展開が恐怖を煽っていて素晴らしくおもしろい。
徹底的に現実を投影したストーリーだから、キャラが弱いのもそこら辺にいる一般市民感が増して現実社会を描き出すっていう意図とバッチリハマるわけです。
じゃあ3作目の『新感染半島』かどうだったかというと、まずキャラが立っていなきゃいけない人物たちなのに全く立っていない。
バックボーンが全然見えなく、全部雰囲気とビジュアルで強引に持っていくだけでキャラに魅力がないんですよね。
全員、物語のためのコマ感がものすごい。
死ぬやつは見事にフラグを立てて死んでいくし生き残るだろうなってやつは何がなんでも噛まれない。
あからさますぎるから全くドキドキしないし、キャラが立っていないから死んだところで「あー死んだー」としか思わない。
キャラの描き込みが少ないままジェットコースター的に話が進んでいくから、感動シーンを見せられても全くノレないんですよね。
なんなら最後の自殺するかしないかのシーンもクドくてウンザリしちゃう。
前作からの対比になっているのはいいんだけど、どうせ生き残るんだから早くしてくれ!って思っちゃう。
唯一キャラ立ちしているなと思ったのはソ大尉ですね。
彼は良かったですね。脳筋アホ残虐軍団のトップが線の細くて弱々しさも感じる人物っていうのが良かった。しかも、631部隊が一枚岩になっているわけではなくて、見てるこっちにはわからないような何かのバランスで成り立っている組織っていうのが良い。
よくある弱そうだけど一番サイコパスで残虐みたいなトップ像じゃなくて、部隊なんてどうでも良くて自分だけでも半島から脱出して普通の暮らしがしたいっていう人間っぽさ丸出しなトップ像で今作で一番好きなキャラです。
という感じで例外はいるもののほぼ全員キャラがめちゃめちゃ弱いんですよ。おじいちゃんとか弱すぎて後半の全部が全然感動できないくらい。
じゃあ現実社会を反映させているかと言われればそれもイマイチ。
631部隊と聞けば日本の731部隊を想起するけどだからなんだって話しだし、コロナウイルスと結びつけるのもなんだかなーって感じですよ。
だってゾンビ映画だしね〜。
結局この映画の売りってアクションでドラマではないんですよね。だからアクションで突っ走ってくれればいいんですけど中途半端にドラマ部分はドラマ部分で独立させて描こうとするからチグハグ感がどうしても拭えないんじゃないかな。
捨てようと決めたもんは潔く捨てた方がいいと思います。
とはいえやっぱりエンタメ力はすごいんですよね。
アクションはとんでもないからそれで許しちゃう感はある。
ゾンビを車で体当たりして吹き飛ばすところなんて爽快感MAXで最高でしたよ。
好きか嫌いかで聞かれたら全然好きです。