2022年観た新作映画142本の中で最も面白くなかったワースト10の発表です。
ワーストなんて完全に個人の好みの話なんで、今から挙げる作品が好きな人を否定する意図は毛頭ないのであしからずご容赦ください。
あと、今年は酷そうな映画は割りと避けてきたので、あの作品入っていないんだとかは結構あると思います。
ではれっつごー。
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10位『ONE PIECE FILM RED』
115分/日本/アニメ、アクション、音楽
2022年映画興行収入ランキング堂々の1位である今作。僕もONE PIECE大好きです。
試みとしてはチャレンジングなことをしているのでそこは素直にすごいなと思うけど、果たして面白かったかどうかと聞かれるとうーん......
今作の肝であるライブ感も、個人的にはノレず。歌パートでAdoの声になること自体はいいんだけど、どんなときも万全のAdoボイスだから、最後まで違和感が拭えなくてキャラが生きている感が全くなかった。
物語もテーマはいいんだけど、そこに対する答えが超なあなあだから、なんだかなぁという気持ちが拭えなかったです。赤髪海賊団と麦わら海賊団が顔は合わせてないけど通じ合って共闘するというのは好きでした。
9位『キングダム2 遙かなる大地へ』
134分/日本/アクション
ヤングジャンプの大人気漫画の実写映画化第二弾。前作から半年後、隣国の「魏」が侵攻してくる。秦国は魏討伐のために蛇甘平原へと軍を進める。歩兵として戦に参加した信は、隊を指揮する縛虎申のもと無謀な作戦に打って出る――
“お金をかける”大切さを教えてくれる圧倒的物量はさすが。ただ、前作のダメだったところがそのまま引き継がれていたのは残念。というか戦の規模が大きくなった分悪化している気もする。
持ってきたエピソード的に話の途中感が強いのは仕方ないとして、生きるか死ぬかの緊張感が全くないのはどうにかならないですかね。
それからリアル寄りにする部分とフィクション寄りにする場所がずれている気がする。変なところで漫画っぽくなったり、かと思えばそこは漫画的に飛躍した描写が見たいと思ったときにリアル寄りになったり......トーンタンタンはびっくりするくらいダサかった。
一昔前なら、前作で人気だった長澤まさみの楊端和を無理やり出していたりしそうだけど、そういうのがなかったのはすごく良いと思う。
8位『グレイマン』
122分/アメリカ/アクション
お金がかかっていることだけは誰がどう見てもわかるし、撮影技術の高さも伺える。ただ、それが全くおもしろさに結びついていない。
キャラも記号的だし、アクションも平凡だし、別につまらないというわけではないけど印象には全く残らない映画でした。
7位『バブル』
100分/日本/アニメ、アクション
世界に降り注いだ泡によって重力が壊れた東京。ある日出会った少年と少女は世界を変える運命を背負う――
パルクールアクションは見ていて楽しかったんだけど、そのパルクールバトルが物語の本筋と関係ないので総じて物語が弱い印象になってしまっていた。“装置”ではあっても“意味”ではないといった感じ。
あと男女の役割の関係性が古臭くて全く合わなかった。
6位『ヘルドッグス』
138分/日本/アクション、クライムサスペンス
アクションはすごく良くてさすが岡田准一!!となったんだけど、ストーリー面が最悪で、潜入捜査官ものとしての面白さが皆無だった。キャラもみんな濃くて面白いのにそこに切り込んでいかないので、各キャラの顛末になにも心動かされないのも辛かった。
あとはギャグが僕には全く合わなかった。
5位『いつか、いつも・・・・・・いつまでも。』
113分/日本/ドラマ
画面に映っているのはすごく温かいものなはずなのに、登場人物に人間味がなくて表面だけ熱くて中身冷え冷えなグラタンみたいな映画だった。
序盤でイライラさせられるお節介叔母さんのことを後半で一転して好きにさせられる仕掛けは好き。
4位『スパイダーヘッド』
106分/アメリカ/アクション、サスペンス
クリヘムの喜怒哀楽グッチャグチャ演技は良かったけど如何せん脚本が......
メッセージは良いと思うんですよ。情報社会で日々他人の感情に触れる現代。あなたが抱くその感情は誰かに作られたものではないですか?という皮肉たっぷりのお話。こういうベスト・ワーストとかも、みんなが面白いと言っているから、みんながつまらないと言っているから自分もそう思うという風になっていませんかということですよね。
ただ、それを映画として面白く見せられているかというと......
そもそも監督も脚本家もこのテーマにあまり興味がなくて、今作を作ることに熱がなかったんじゃないかな。
ちなみに今作の監督であるジョセフ・コシンスキーは『トップガン マーヴェリック』の監督です。映画って面白いですね。
3位『グッバイ・クルエル・ワールド』
127分/日本/クライム
監督が思う“かっこいい”を詰め込む。ただそれだけの映画。実際にビジュアル面の楽しさはあって、燃え盛るガソリンスタンドから現れる宮沢氷魚と玉城ティナのショットは最高にイカしてました。
とはいえ、さすがに内容がなさすぎた。
ある一夜に起こした事件をきっかけに、登場人物たちの人生が絡み合い地獄へ突き進んでいくというプロットはタランティーノ作品を彷彿とさせるものの、悲しきかな外側をなぞっただけになってしまっている。
中途半端にドラマ性を持たせたことで、結果として【カッコいい】が浅瀬で止まってしまっているのは致命的な欠点ではないでしょうか。
あとはバイオレンス描写も中途半端で、万人に見てもらえるようにするならあれがベストなんだと思うけど、個人的にはそこまでやるなら徹底して阿鼻叫喚の地獄絵図を見せてほしかったなと思いました。
2位『バイオレンスアクション』
111分/日本/アクション、コメディ
何もかもが“それっぽい”で出来ている典型的なダメ邦画。後述する1位の作品が現れるまでは圧倒的ワーストだと思っていました。
ドラマ、アクション、原作リスペクト......どこを切り取ってもダメダメのダメ。とにかく酷くて見てらんない。
ドラマ部分は状況説明をしてるだけだし、アクション面も、ソニーが開発した”ボリュメトリックキャプチャ”というとてもすごい技術を日本で初めてアクション撮影に使っているのですが、これを活かしたシーンが全編通して数分もない!
後は異様に多いカット割りやスローモーションで動きを誤魔化したり、雑なCGで変なことしてみたり。
たぶん『ザ・ファブル』と『今日から俺は』を足したような作品にしたかったんだろうね。その考えが雑なんだけど。邦画業界の闇だね。
それから、セクハラ描写がまじでキツかった。今どきこんなことやってるんだと辟易しました。
1位『月の満ち欠け』
128分/日本/ドラマ
ということで、1位はこの作品でした。まさか『バイオレンスアクション』を超える作品が出てくるなんて思ってもいませんでした。
ストーリーは事故で妻と娘を自己で亡くした主人公の大泉洋のもとに、目黒蓮が訪ねてきて娘はかつて自分が愛していた女性(有村架純)の生まれ変わりなのではないかと告げる――というものです。
よくある泣かせ邦画なのかなと思いきやびっくり仰天。疑問でしかないんですけど、これは本気で泣ける感動作として作られているのでしょうか?そうなのだとしたら狂っていると思います。冷静に考えれば考えるほど、人が人であるための尊厳とか自由を冒涜しているようにしか思えない。
2022年で最も作った意図がわからない奇妙な映画でした。
田中圭の狂ったモラハラ男の演技は素晴らしかった。
#2022年映画ワースト10
— EPATAY* (@tiiiiiisu) 2022年12月29日
1.月の満ち欠け
2.バイオレンスアクション
3.グッバイ・クルエル・ワールド
4.スパイダーヘッド
5.いつか、いつも...いつまでも。
6.ヘルドッグス
7.バブル
8.グレイマン
9.キングダム2 遥かなる大地へ
10. ONE PIECE FILM RED pic.twitter.com/hxWywgFjDA
以上2022年映画ワースト10でした。1位、2位の作品は3位以下と比べてぶっちぎりのワーストです。
ベストの2位に入れている映画とワーストに4位に入れている映画の監督が同じっていうのもなんだか感慨深いですね。