【感想】映画『ハロウィン THE END』お祭り騒ぎを見に行ったら哀愁漂いまくる終活映画だった......

『ハロウィン』新3部作の完結編である『ハロウィン THE END』の感想です。
※ネタバレありです。


2023年/111分/アメリカ/ホラー
原題:Halloween Ends
監督:デヴィッド・ゴードン・グリーン
脚本:ホール・ブラッド・ローガン、クリス・ベルニエ、デヴィッド・ゴードン・グリーン、ダニーマクブライド
出演:ジェイミー・リー・カーティス、アンディ・マティチャック、ロハン・キャンベル、ウィル・パットン、カイル・リチャーズ
配給:パルコ


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あらすじ

『KILLS』での惨劇から4年が経ったハドンフィールド。街は徐々に平穏を取り戻し、ローリーはマイケルとの因縁を清算するために自信の経験を本に残そうと執筆していた。同じ頃、事故でシッター先の子どもを殺してしまった青年コーリーが不意なきっかけでマイケルと遭遇したことから、再び街が恐怖に包まれる―





監督、そうならそうと教えてくださいよ......


いやーびっくりしましたよ。そんな話だなんて思わないじゃん。


前作『KILLS』で恐るべきキルカウントを叩き出し、ローリーとの死闘の果てに姿を消したマイケル。完結編では、再び姿を現したマイケルにローリーと街の人々が力を合わせ、長きに渡る因縁に決着をつけるため最終決戦の火蓋が切って落とされる......!!!的な話だと思ってたんですよ。


前作で互いを疑い落としあったハドンフィールドの人々が心を一つにして立ち向かう。しかしマイケルの凶行は留まることを知らない。一人、また一人と犠牲者が増えていく。しかし街の人々は諦めない。もうローリーは一人じゃない。私たちはもうあんたを怖がりはしない。さよならマイケル・マイヤーズ。的な話だと思ってたんですよ。


え................................................................................................................................................................................................................................................................................................................................................................................................................................................................................................................................................................................................................



マイケルめちゃめちゃ弱ってんじゃんか......


マイケルの純粋な悪意にあてられてしまう人がいるというのはアプローチとしても全然ありだし、それ自体はある程度は予想もしていたけど、まさかあんなにガッツリ弟子育成物語になっているなんて。


4年間も心身ともに弱った状態で街の最下層でひっそりと身を潜めて暮らしていて、ある時出会った青年コーリーの目に自分と同じものを感じ後進育成に希望を見つけるとかさ、哀愁がすごいんですよ。


相変わらず言葉は発しないし、バックボーンが語られることもないんだけど、なぜだか彼の心の声が聞こえる気がするんです。


で、ローリーもさ、彼女は彼女で孫娘のアリソンの親として励んでいるわけでしょ。


そしてなんの因果かコーリーとアリソンはめぐり逢うが、運命は残酷で......とかさ、エモーショナルが完全に『僕のヒーローアカデミア』なんですよ。ハロウィンを見に行ったらヒロアカだったとか予想できるわけないじゃないですか。


しかもですよ?コーリーに「お前のマスクよこせ」とか言われて抵抗するけどあっさり取られてさ、「あいつも成長したな......」みたいな感じでムクッと起き上がってさ、なんだかすっごく哀しかった。


コーリーの殺しの現場についていって、手間取るコーリーを見て「違う、殺人てのはこうやるんだよ」みたいな感じで手本を見せてあげててさ、なんだかすっごく愛おしかった。


しまいには、お互いにやっぱり俺はお前と戦いたいみたいな感じでローリvsマイケルの最終決戦が始まってさ、ホントにもう少年漫画かよ!


たしかに、これはいったい何を見せられているんだと困惑しましたよ。こんな予定じゃなかったと。


でも、考えれば考えるほどにこの映画の持つ哀愁に惹かれている自分がいるんですよね。


しかも、たしかにこの長年の物語に決着をつけるにはこの展開しかない。


外野の僕たちによって、勝手に人間を超えたバケモノと祭り上げられた彼もなにかを抱えた人間だったと、スタート地点に立ち戻って安らかに眠らせる。それでこそローリーの魂も開放されるし、なによりマイケルに向けた鎮魂歌になるんです。


それを下手にバックボーンを付け足したりせずに成立させるってのがすごいのよ。


個人的にはコーリーとマイケルのアクションの違いも良かったですね。コーリーは若者が思いついた残酷な殺し方!って感じなのに対して、マイケルは経験を感じさせる引き算の殺し方。プロ魂じゃないけどああいう渋さの演出がめちゃめちゃ良かった。


否定派の人の意見もすごく良く分かる。僕も決して満足はしていない。なんだけど自分はこの映画の持つ哀愁をどうしても嫌いにはなれない......


詳しいことはわかんねぇけどさ、あいつもよ、人間だったんだよ......